西田としゆきファンクラブ(仮)

基本的に雑談。基本的じゃなくても雑談。

小説2篇(別れ/メロンクリームソーダ)

【別れ】

東京へ向かう1時間に1本の列車を待つホームには雪が積もっていた。コートを羽織りマフラーも首に巻いてはいるものの寒さに震えている。この春、私は上京するのだ。あのテレビでしか見たことのない人まみれの場所に。

「ご注意ください。間もなく電車が参ります。黄色い線まで下がってお待ちください」

駅員が大声で電車が来ることを告げる。
この列車で東京に行くためには5回乗り換えをしなければならない。慣れればどうってことないと思うが初めての私には、難しい。

私は、一度改札を出て、駅前のサイゼリヤに寄ることに決めた。そして家に帰ることに決めた。

母「あんた、またかい。東京出る出る詐欺。東京にあるヴィレッジヴァンガードに行こうとすることを上京とは言わないんだよ。行ってすらいないし」



【メロンクリームソーダ

「えっ?みゆき上京するの?」
行きつけのカフェでメロンソーダを飲む友達のさちえが、大声で問いかける。

「だから、何度も言ってんじゃん」
「いや初耳なんだけれど。何で?」
「理由は色々あるの」
「色々って、アンタ。まあ、良いわ。アンタって昔からそう。急に突拍子もないことを言って皆を驚かせるの」
「そうかな?」
「そうよ」
そう言うと、私が突然大型二輪免許をとり、ハーレーを買ったことなどを思い出させた。でもさちえも乗せたじゃん。
「まあ、良いわ。ちょっと店員さん。メロンクリームソーダ一つ。お別れだから私がおごってあげるわ。」

私は、一度カフェを出て、駅前のサイゼリヤに寄ることに決めた。そして家に帰ることに決めた。

さちえ「アンタ、またかい。東京出る出る詐欺。東京にあるヴィレッジヴァンガードに行こうとすることを上京とは言わないんだよ。行ってすらいないし」